【ヨーガコラム】また逢えますか?

先日、佐保田鶴治先生の御遺言という題名の付いた資料をいただきました。

佐保田鶴治先生は、大阪大学の名誉教授でインド哲学を教えてらっしゃいました。
のちにヨーガも教えられるようになり、私はこの先生に初めてヨーガを教わりました。

その資料には佐保田先生のお言葉として以下のように書かれてます。

みなさん、ヨーガをお続けなさい。
私のようになりますよ。
私は今とても幸せです。
大きな夕日がゆっくりと沈んでいくところです。
とても綺麗です。気持ちがええ…
私は後、3回生まれ変わります。
すべて、宗教関係に生まれます。
3回目はインドです。

こんなお話をされた翌月亡くなられました。
と書かれています。

私はこれを読んで、ほぉそうなんだ、と素直に受け入れる事ができました。
佐保田先生をご存知ないとなかなか不思議な話に聞こえますが、私は素直にもしかしたらまた会えるかもって思いました。

生まれ変わるのは宗教関係って書いてあるので、お寺とかに行って30才より若いようなご住職を見つけたら(佐保田先生が亡くなられて30年以上経つので)
そっと後ろから「佐保田先生」ってつぶやいてみる。
すると、静かに振り向き小さく会釈されたりして…なんて思うと輪廻転生、現世も捨てたもんじゃないって思います。

この年になると人を見送る事が多くなり、今年だけですでに3回葬儀に参列しました。

大好きな叔父と叔母が2月.6月と相次いて亡くなり、8月には友人のご主人さまが亡くなられました。

特に叔母の死がこたえました。

叔母は私の母の1番下の妹で、叔母が嫁ぐまで一緒に暮らしていました。
私は3人兄弟の末っ子で、大変わがままで人のいうことなんて聞かないし、とにかく当時家族の中で間違いなく厄介者でした。
そんな私に叔母はいつも優しく、食べた事もないような手作りの美味しいオヤツを食べさせてくれました。
チョコレートババロアって言うのよ、と教えてもらい何かあると作って作ってとせがんでました。

ある日、私が自分の部屋で寝ていると叔母が静かに入ってきました。
私は多分小学校低学年ぐらいで、叔母が結婚する直前だったと思います。

静かに入ってきましたが、その気配で目が覚め、それでもなんとなく寝ているふりをした方がいいように思い、目を閉じていると
「寝てる」と叔母はつぶやき
「かわいい」と言って私の額にキスをしてくれました。

わたしが、かわいい?
人生で生まれて初めて「かわいい」と言われ、そんないままで聞いた事もない形容詞にビックリ。
そしてそのあとおデコにチュッ。
もう嬉しくてドキドキして、静かに部屋を出て行く叔母の後ろ姿を薄眼を開けて見てました。

私の母は大正生まれで、母からキスなど一度もされた事もなかったので、その時の幸せなドキドキはいまでも覚えています。

叔母が嫁ぐと、その嫁ぎ先まで一人で電車に乗って泊まりにいきました。
叔母は当時小さな家に、旦那さまとお姑さんと小姑さんと同居だったのに、そんな事は一切お構いなしで遊びに行ってました。

それは私が結婚して子供ができても、こんどは私の家族3人で叔母の家に毎年お盆とお正月に泊まりに行く、というふうに続きました。

よく考えたら叔母にとってはいい加減迷惑な話ですが、
「いつでも、ふうちゃんが来たい時に来たらええよ」の言葉でひょいひょい行ってました。

そんな大好きで大切な叔母が6月に逝ってしまいました。

先日、9月も終わりだというのにずいぶん暑い日があって、冷たいお蕎麦が食べたくなり、駅ナカのお蕎麦やさんに一人で入っていきました。

駅ナカ蕎麦といっても立ち食いではなく、ちゃんとテーブルとイスがあります。
隣のテーブルのお二人が楽しそうに会話されてました。

「みんな元気よね?」
と70代ぐらいの女性が。
するとお向かいに座っている50代ぐらいの女性が
「うん、全員元気にしてるよ」
どうも叔母さんと姪っ子さんのようです。

「いつも何もできなくてね…」
「とんでもない、毎年送ってもらう叔母ちゃんのトウモロコシがほんと美味しくて、家族全員大喜びしてるよ。あれが一番。本当にありがとう」

なるほど、叔母さんは農家の方なのか。
そういえば日焼けされてるな。
そんなに美味しいトウモロコシ、私にも送ってよ〜と勝手に心の中でつぶやきなが、黙々とお蕎麦をすすってました。

話はかなり弾んでいて、だいたいの家族構成もわかり、私もそろそろ食べ終わりそうになっていても席を立とうとしないお二人。

私が入って来る前からいらっしゃるし、駅ナカ蕎麦にそんなに長居するのもいかがなものかと思っていたら、叔母ちゃんの方が
「そろそろ行こうかね」と。
「今日はウチの主人も遅いしまだいいんだけど…でもまぁ行こうか」

先に叔母ちゃんが立って、隣の空いてるイスに置いてあった大きな荷物を持とうとした時
「叔母ちゃん、ダメだよ。その荷物は私が持つ」
その言葉を聞いた瞬間、突然私の目から大粒の涙がボトボトと流れ落ちました。
駅ナカ蕎麦やで、一人で蕎麦食べて突然号泣し始める、ビックリです。

私がかつて叔母に
「叔母ちゃんの荷物、私が持つよ」って言った事を思い出したわけではなく、そんな事いつ言ったかも覚えてないけど、その言葉は何百回も言ってきたから突然涙が溢れたんだろうと思います。

佐保田先生がおっしゃった通り、叔母もまた生まれ変わって、もしかしたら偶然私とすれ違う事があるかもしれません。
でも、でも
「その荷物、私が持つよ」と言いえる事は二度とないです。
本当に残念でたまりません。

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2 COMMENTS

大谷 淳子

今回のコラム、初めて読んだときは、涙が出ました。悲しいのではなく、胸がいっぱいになりました。今日まで、何回か開いて読みました。毎回 ゆっくりゆっくり読んでいます。すぐそばで 見ているような気持ちになります。佐保田先生のお話も、叔母さまのお話も、なにか脳のいつもとは違う部分にインプットされているような感じがしました。とても、素敵なコラムでした。ありがとうございました。(私の表現力がなくて、感動の10分の1も伝えられなく残念です。)

竹下先生のレッスンが、ここ数ヶ月ないように思います。心配するような事でなければいいと思っています。プライベートな事なので、特に知りたいとは思っていませんが、レッスンを楽しみに待っている生徒がいますと、何かの折にお伝え頂ければと思います。

今月もよろしくお願いいたします。

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ichiki-yoga

大谷淳子さま
こちらの記事からの返信が遅くなり申し訳ありません。
コメントありがとうこざいます。
とても嬉しく拝見しました。
2019年もどうぞよろしくお願いいたします。

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